第12回九州DMEフォーラム(6/26:Web開催)のご報告
- 久留米大学医学部眼科学教室

- 6月2日
- 読了時間: 3分
今回のDMEフォーラムでは、糖尿病網膜症(DR)および糖尿病黄斑浮腫(DME)に対す
る手術治療と薬物治療について、最新の知見が紹介されました。

京都府立医科大学の田中先生には、「TelCapsの病態と治療」をテーマにご講演いただ
きました。はじめに、増殖糖尿病網膜症(PDR)に対する硝子体手術について、硝子体カ
ッターや鉗子を用いた実際の手技を、手術動画とともに分かりやすく解説いただきました
。現在のPDR治療では、抗VEGF薬、網膜光凝固、必要に応じた手術を組み合わせた治療
が行われています。DMEでは抗VEGF薬が治療の中心ですが、十分な効果が得られにくい
症例もあります。その背景として、深層網膜に存在する毛細血管瘤(MA)や、より大型
で血管壁が肥厚したTelangiectatic capillaries(TelCaps)が注目されています。TelCapsに
は、一般的なMAとは異なる血管構造の変化が関与している可能性が示されています。講
演では、抗VEGF薬と光凝固を組み合わせた治療、海外で報告されているTelCaps治療、さ
らに田中先生の施設での検討結果が紹介されました。TelCapsの大きさや中心窩からの位
置、治療方法ごとの違いを評価した結果、治療後には黄斑浮腫の改善が示されていました
。また、注射や通常の光凝固に反応しにくいTelCapsに対し、手術下で病変を確認しなが
ら光凝固を行う工夫も紹介されました。特に印象的だったのは、術者の視点からみた
TelCapsの特徴です。TelCapsは術中に比較的平滑な病変として観察されることがあるとの
ことで、画像診断だけでは得られない実践的な知見が示されました。今後、従来の光凝固
や注射治療に手術を組み合わせることで、視力や黄斑形態にどのような追加効果が得られ
るか、さらなる検討が期待されます。
香川大学の鈴間教授には、「IVA 8 mgによる新たなDME治療マネジメント」をテーマに
ご講演いただきました。糖尿病網膜症の病態やVEGFの役割、血管内皮細胞・ペリサイト
との関係などについて、歴史的な背景も含めて解説いただきました。さらに、アフリベル
セプト8 mgの特徴、これまでの主要な臨床試験、PHOTON試験の結果についても紹介さ
れました。鈴間教授は、血糖コントロール不良例、インスリン導入時、中心窩近傍に硬性
白斑を伴う例、片眼視の症例、視細胞構造が保たれているにもかかわらず視力が低下して
いる症例などを踏まえ、治療薬や投与間隔を個別に検討する重要性を強調されました。ま
た、病勢が安定している症例ではPRN投与を選択する一方、浮腫をより確実に抑えたい場
合や硬性白斑の軽減を重視する場合には固定投与を行うという、実践的な治療戦略も示さ
れました。
今回のフォーラムを通じて、DME治療では抗VEGF薬の投与に加え、病変の種類や位置
、網膜の状態、患者背景を総合的に評価し、光凝固や手術も含めて治療を個別化すること
の重要性を改めて感じました。ご多忙のなか、豊富なご経験と貴重な知見をご共有いただ
いた田中先生、鈴間先生に、心より御礼申し上げます。
(文責:加藤喜大)








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