日本眼科学会総集会プログラム委員会に対する評価と提言
- 久留米大学医学部眼科学教室

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更新日:24 時間前
Ⅰ 第129回日本眼科学会総会の総集会プログラム委員会に対する評価報告
1.総括
第129回日本眼科学会総会(以下,日眼総会)は東京国際フォーラムにおいて,新潟大学の福地健郎総会長のもと「科学は美しい Science has great beauty」をテーマとして,前年に引き続きハイブリッド形式(現地開催+オンライン配信)で開催された.参加者総数は10,575名に達し,現地参加者も5,836名と盛況であった.4日間の会期を通じて多くの参加者が来場し,学術プログラムでは活発な討議が展開された.
一方,オンライン視聴およびオンデマンド配信にも多数の参加登録があり,6月12日まで追加登録を受け付けた結果,最終登録者数は前年と同程度となった.新型コロナウイルス感染症流行後に定着したハイブリッド形式は,本総会においてもその利点を十分に発揮した.セッション重複時でも後日視聴可能である点,繰り返し視聴による理解深化,遠隔地からの参加機会確保などが高く評価された.配信期間が前年より延長された点も好評であり,ハイブリッド開催およびオンデマンド配信は,日眼総会の新たな標準的開催形式として定着したと評価できる.
学術プログラム全体については,各セッションが概ね「良い」または「非常に良い」と評価された.招待講演,シンポジウム,教育セミナー,サブスペシャリティサンデーはいずれも高評価であり,参加者アンケートでも満足度は総じて高かった.プログラム配置についても分野間の偏りが少なく,バランスの取れた構成であったとの評価が多く寄せられた.
本総会では,シンポジウム発表言語を原則英語とする新たな試みが導入された.学会の国際化推進を目的とした重要な方針転換であり,日本人演者も原則英語発表を行った.参加者からは賛否両論がみられたものの,肯定的意見も多く,英語発表でも内容理解は概ね可能であったとの評価が得られた.一方,「国内学会として日本語発表を重視すべき」との意見も一定数存在し,今後の継続的検討課題と考えられる.AI同時通訳の導入を求める提案も複数寄せられており,技術的支援の充実が期待される.
特別講演・招待講演・評議員会指名講演などの特別セッションも充実しており,概ね好評であった.海外演者がオンライン登壇となった講演もあったが,研究成果に基づく質の高い内容であり好意的に評価された.一方で,海外招待講演の意義や費用対効果について検討を求める意見もあり,今後の演者選定の参考となる示唆が得られた.
本総会では一般講演275題,学術展示185題,計460題が発表された.参加者からは研究成果共有の機会として高い評価が得られた.一般講演のプログラム編成については参加者アンケートでは,97%以上が「適切」と回答しており,進行および配置は概ね良好であった.一方,口頭発表減少傾向への対策として優秀一般演題の表彰制度導入を求める建設的提案もみられた.
学術展示は従来型の対面討論形式で実施され,直接的な議論を歓迎する声があった一方,音響環境が悪く聴取しづらいとの指摘があった.またオンデマンド配信対象外であった点を惜しむ意見もあり,電子ポスター導入や設備改善が今後の課題である.
本総会では紙媒体抄録集を廃止し日本眼科学会公式アプリ「JOS」へ全面移行した.参加者からは概ね好意的評価が得られたが,一部では紙媒体消失による検索性・記憶性低下を指摘する声もあった.Wi‒Fi接続環境への改善要望も寄せられており,電子化推進とインフラ整備の両立が求められる.
2.総集会プログラム委員会立案の学術プログラムについて
1)招待講演1
招待講演1(演者:Anand Swaroop氏)はオンライン形式で実施されたが,内容は非常に体系的かつ理解しやすく,評価委員から高い評価を得た.加齢網膜疾患における遺伝要因・老化・環境の関与について最先端研究を総括した講演であり,評価委員アンケートでは「良い」または「非常に良い」が100%を占めた.参加者アンケートでも概ね好評であり,最新研究知見を共有する有意義な講演であった.
2)シンポジウム
総集会プログラム委員会企画のシンポジウムは全15題が開催された.シンポジウムの数に関して,評価委員の92.3%が「適切」と回答し(「多い」7.7%),参加者も84%以上が「適切」と評価している.プログラムの編成面でも,専門分野間で偏りのないバランスの良い配置であったとの意見が多かった.実際,評価委員からは「専門分野のかぶりが少なく,配置の仕方がよく考えられていた」との評価があり,参加者からも「非常に幅広い分野の内容が網羅され勉強になった」「他領域の話が聞けて良かった」と,さまざまな分野の最新知見を学ぶ機会を提供するシンポジウムに高い満足の声が寄せられた.評価委員アンケートではシンポジウムの内容についての評価は「良い」または「非常に良い」が大半(95%超)を占め,質の高い講演が揃っていたと総括された.特に評価委員による評価が高かった総集会プログラム委員会立案のシンポジウムとして,シンポジウム6「神経制御による眼表面の恒常性維持とその障害の病態生理」,シンポジウム8「網膜・視神経疾患のトランスレーショナルリサーチ」,シンポジウム9「アレルギー性結膜疾患の病態理解における新しい視点」,シンポジウム11「近視研究アップデート~乳幼児から大人まで~」,シンポジウム20「今日からできる!患者満足度を上げるロービジョンケア 視覚障がい者に寄り添う支援ツール」などがあげられる.参加者から特に人気を集めたのは,シンポジウム11「近視研究アップデート~乳幼児から大人まで~」(127票),シンポジウム7「網膜硝子体領域における次世代OCTの可能性」(99票),シンポジウム2「〈基礎研究セミナー〉領域横断的なAI活用の先端研究」(84票)などであった.参加者アンケートにも,「アップデートな内容を扱ったレベルの高いシンポジウムが多く,大変有意義であった」との声が多数寄せられており,総集会プログラム委員会の企画によるシンポジウムは,その質・量ともに概ね好評であった.
本総会では学会の国際化推進という観点から大きな方針転換が図られた.従来より日英両語による抄録・スライド併記が推奨されてきたが,129回総会からは原則としてシンポジウムを英語発表で行う決定がなされ,実際に多くのシンポジウムで発表言語が英語に統一された.この試みについては,肯定的評価がある一方,国内参加者からは「日本の学会なのだから日本語で行うべきである」といった否定的意見も少なくなかった.実際,英語発表への移行により聴衆の分散が生じ,教育セミナー(日本語)のほうに聴衆が集まっていたとの指摘もなされている.ただし,本総会では新たな取り組みとしてAIによる同時通訳字幕の試験導入が行われ,招待講演などで一定の有用性が示唆された.参加者からはAI翻訳普及と精度向上に期待が寄せられ,今後の技術的発展を見据えたサービス拡充が望まれる.国際化と参加者利便性のバランスについては引き続き議論が必要である.
3)教育セミナー
教育セミナーは全10題が開催された.教育セミナーの数について,評価委員の92.3%が「適切」と回答し(「少ない」7.7%,「多い」0%),参加者も約90.1%が「適切」と回答している.全体として現行のセミナー数と分野のバランスは概ね妥当と評価された.プログラム配置については,同一分野のシンポジウムとは重複しない時間割となっており,評価委員からは「シンポジウムと分野が重ならず,よく考えられた配置であった」との意見が寄せられた.また教育セミナーは日本語で行われたため,英語のシンポジウムより聴衆が集まりやすかった面も指摘されている.以上より,教育セミナーの配置・数に関して大きな問題は認められず,現行路線が受け入れられていると考えられる.
各教育セミナーの内容については,評価委員・参加者ともに高い満足度を示した.評価委員アンケートでは全体の約84%が「良い」または「非常に良い」で占められ,特に教育セミナー2「日本医療のイノベーション革命」および教育セミナー7「難病研究の現状と克服に向けた未来展望」は,担当評価委員の大半が「非常に良い」と評価するなど高い評価を得た.参加者アンケートでも,教育セミナー3「緑内障の病型別治療戦略」が最も多くの参加者から「良かったセミナー」に選ばれ(132票),次いで教育セミナー10「ぶどう膜炎における失明パターンを理解し回避しよう!」(90票),教育セミナー1「眼瞼診療の黄金律~どう治療すれば喜ばれるのか~」(79票),教育セミナー5「斜視の病因・病態の新しい理解」(79票)が人気を集めた.幅広いテーマが用意され,各自の興味や専門性に応じて有益な知識を持ち帰ることができたとの声が多かった.来年度以降も教育セミナーの質を維持しつつ適切な規模で企画を継続していくことが望ましい.特に参加者評価の高かった緑内障やぶどう膜炎,眼瞼,斜視などのテーマについては,最新情報のアップデートの場として継続が期待される.
4)サブスペシャリティサンデー
サブスペシャリティサンデー(Subspecialty Sunday)では大会最終日(日曜日)に計12の専門セッションが行われた.セッション数について,評価委員の92.3%が「適切」と回答し(「多い」7.7%),参加者の評価も約91.8%が「適切」であった.各セッションはいずれも専門分野ごとにテーマが明確に設定されており,関連のあるプログラムが同じ会場で続くので聴きやすいとの声が評価委員から寄せられた.一方で,サブスペシャリティ内でテーマが近接するセッションの統合・整理について検討を促す声もあった.もっとも,総合的にはサブスペシャリティサンデーは専門領域の最新知見を集中的に学べる貴重な機会として高く評価された.アンケートでは,特に緑内障系のセッションが非常に高い人気を博した.参加者から「良かったセッション」に選ばれた上位は,SS02「緑内障治療の最前線」(133票),SS06「OCT/OCTAの基本所見とpitfall」(118票),SS01「緑内障検査の最前線」(102票)であり,ほかにSS04「糖尿病網膜症に対する治療戦略」(87票)やSS03「視神経疾患の検査・治療の最前線」(81票)も多くの支持を得た.サブスペシャリティサンデーは各サブスペシャリティ領域の最新トピックを網羅し,多くの参加者にとって有意義な学習の場であったと評価できる.来年度以降もプログラムの重複に留意しつつ,この有意義な企画を継続・発展させていくことが望ましい.
3.その他
第129回日眼総会は従来の冊子体抄録集(紙媒体)を全面的に廃止し,専用アプリ上でプログラム・抄録を提供する形に移行した.総じて電子抄録への移行は受容されつつある印象である.運営面では,各所にスタッフを配置して円滑な誘導に努め,4日間を通じて大きな混乱もなく学会が遂行された.ただし会場の環境に関する改善要望もあげられている.人気セッションに対して部屋が手狭で立ち見が出たケースが複数報告されており,聴講席に余裕を持たせた会場割当の工夫が求められる.特に教育セミナーや一部のシンポジウムで満席となる例が散見されたため,事前の参加希望状況の把握や当日の機動的対応など柔軟性が望まれる.また館内の無線LAN・携帯通信環境について,「Wi‒Fiパスワードが分かりづらい」「電波が入りにくい」といった声が複数寄せられた.今後,学会公式アプリを活用したリアルタイム情報提供や案内表示の充実を図るとともに,ネット環境の整備についても改善が望まれる.
4.最後に
総じて,第129回日眼総会はハイブリッド開催の利点を最大限に活用しつつ,新たな国際化への挑戦を実現した意欲的な学術集会であった.参加者アンケートでは高い評価が多数寄せられ,学術的・運営的いずれの側面においても完成度の高い総会であったと評価できる.得られた知見と改善点が今後の総会運営に活かされ,さらなる発展へとつながることを期待したい.
Ⅱ 第79回日本臨床眼科学会の総集会プログラム委員会に対する評価報告
1.総括
第79回日本臨床眼科学会(以下,臨眼)は大阪国際会議場,リーガロイヤルホテル大阪の2会場において,愛知医科大学の瓶井資弘学会長のもと「なんでや!?>>>知的好奇心」をテーマとして,ハイブリッド形式で開催された.参加者総数は11,417名で,現地参加人数も6,709名と多く盛況であった.2025年10月9日から12日まで現地開催され,いずれの特別講演,招待講演,シンポジウムとも高評価を得た.特別講演1と2,招待講演1と2,第1会場で行われたシンポジウム11,12,16,17がライブ配信された.また,他のプログラムは一部を除き2025年10月22日から2025年12月25日までオンデマンド配信された.オンデマンド配信期間が約1か月延長され,来年以降も継続してほしいとの意見が多かった.
本臨眼では,仮説の証明と討論を楽しむ学会にする目的で,一般講演(口頭発表)が重視された.一般講演(口頭発表)の一部を選定し,Very Interesting Presentation(VIP)として,分野横断的にセッションが編成された.また,最新の研究成果をもとに議論を深めたいという趣旨から,一般演題締切後に「Late Breaking Abstract」も募集された.学術展示については,自由討論形式の発表としたが,質問や意見交換の橋渡しを行い,活発な議論を促進するため,若手中心の座長が設定された.
インストラクションコース(IC)は,全セッション開催前に録画提出してもらい,会期中初日からオンデマンド配信を行った.オンデマンドに加え現地でも開催できるセッションは,60分と30分の2コースであった.
プログラム編成として,一般講演やシンポジウムへの参加を促した.その目的を推し進めるため,ICは一つの会場に集約して複数時間枠での開催を原則とし,金曜と土曜の最終枠に限っては,ICを同一時間帯に複数会場で並行して配置するプログラム編成がなされた.
女性シンポジスト・座長を4割以上とするクオータ制を導入し,プログラム委員に積極的に女性登用を行ってもらった.
海外からの参加登録は96名と前年を上回った.招待講演1,2では従来の同時通訳に加えて,英語講演をAI英語文字起こしを使用してサイドスクリーンに投影した.シンポジウム15,Late Breaking AbstractをまとめたLate Breaking Session(LBS)でも,海外演者分について英語字幕表示を行った.
第129回日眼総会のオンライン重視の流れを踏まえて,紙媒体でのニュースレターを完全に廃止し,締切などの案内はメールなどで行われた.前年度参加者から同意を得たメーリングリストや日本眼科学会のメーリングリストなどを活用し,各種案内が配信された.また,愛知医科大学医局員監修による,公式X,インスタグラムも活用された.
学会当日のネームカードは郵送せず,会場で出力された.紙媒体は昨年に引き続き,会場案内,日程表など必要最小限の情報を記載した簡易ブックのみであった.オンライン抄録として日本眼科学会公式アプリ「JOS」をフル活用するため簡易案内を作成し,学会ホームページや学会場で案内した.
2.総集会プログラム委員会立案の学術プログラムについて
1)特別講演1
東京大学の相原一教授の特別講演1「What is glaucoma?―眼圧との戦い―」の講演内容は,緑内障研究と臨床経験が凝縮された内容で,専門外にも理解しやすく非常に好評であった.アンケート回答者からの評価も高く,評価委員の評価も「非常に良い」,「良い」が100%,参加者アンケートは「面白かった」が79.1%,「普通」が19.3%であった.
2)招待講演1
University of Texas Southwestern Medical CenterのJudy E. Kim教授の招待講演1「Hot Topics in Retina 2025」は,加齢黄斑変性(AMD)を中心に,萎縮型AMDや家庭用光干渉断層計,上脈絡膜治療など網膜診療の最前線から将来の展望までを分かりやすく示した講演であり,専門外にも理解しやすく教育的価値が高かった.最新の国際的知見を踏まえつつ,網膜診療の未来への期待を感じさせる内容として高く評価された.評価委員の評価は「非常に良い」,「良い」が100%,参加者は「面白かった」が55.8%,「普通」が40.6%だった.
3)シンポジウム
総集会プログラム委員会企画のシンポジウムは全15題が開催された.シンポジウムの数に関して,評価委員の100%が「適切」と回答し,参加者も85.6%が「適切」と評価している.参加者アンケートで,多いとの評価も一定数あった(13.6%).特に評価委員による評価が高かった総集会プログラム委員会立案のシンポジウムとして,シンポジウム3「診断・治療・対応の難しい小児眼科疾患」,シンポジウム7「この80分で掴む!臨床神経眼科の核心」,シンポジウム8「海外と日本,こんなに違う網膜疾患の原因と病態!」,シンポジウム10「炎症性眼疾患の診断~ここまで進んでいる?」,参加者から特に人気を集めたのは,シンポジウム1「緑内障診断・治療のunmet needs,どこまで解決できるのか?」(124票),シンポジウム3「診断・治療・対応の難しい小児眼科疾患」(75票),シンポジウム7「この80分で掴む!臨床神経眼科の核心」(71票)などであった.
評価委員からはテーマ,内容,座長,演者についても大部分が「良い」あるいは「非常に良い」との評価であった.参加者アンケートでは,内容の幅広さ・実臨床への有用性・全体のバランスの良さが高く評価された.一方で,会場混雑や講演時間の短さ,シンポジウムの位置づけの明確化など運営面への改善要望もあげられた.ハイブリッド開催継続を望む意見が多かった.
4)一般講演
第79回臨眼では,一般講演(口頭発表)313演題が採択された.この一部を選定し,VIPとして,分野横断的にセッションが編成された.通常の一般講演は講演6分,討論5分に対し,VIPでは講演6分,討論14分とし,白熱した討論が展開された.VIPの討論の時間配分について参加者アンケート総計のうち適切が242件(85.5%),長いが38件(13.4%),短いが3件(1.1%)であり,適切であったとの評価が多かった.VIPプログラムが適切に組まれていたかについては,適切が271件(97.8%)であった.VIPは若手からベテランまで活発で白熱した討論が行われ,「学会らしさ」を実感できる企画として非常に高く評価された.
さらに通常の抄録締切時点では,研究データが未完成であっても,学会開催時には十分な解析が完了している予定の研究や,臨床・基礎研究を問わず,インパクトが高く最新の研究成果であることを条件にLBSとして,演題募集された.LBSの討論の時間配分について参加者アンケートのうち適切が217件(91.2%),長いが16件(6.7%),短いが5件(2.1%)であり,適切であったとの評価が多かった.プログラムが適切に組まれていたかについては,適切が230件(96.6%),不適切が8件(3.4%)であった.「不適切」の主な理由は,選定基準や一般講演との違いが不明確など企画の必要性自体を疑問視する意見がみられた.発表内容の独自性や価値の明確化など,企画意義の再検討を求める声が中心であった.
通常の一般講演の討論の時間配分について参加者アンケートのうち適切が317件(87.3%),短いが27件(7.4%),長いが19件(5.2%)であり,適切であったとの評価が多かった.プログラムが適切に組まれていたかについては,適切が344件(96.9%),不適切が11件(3.1%)であった.「不適切」の主な理由は,一般講演の発表時間の短さ,専門医単位のとれるシンポジウムなどへの聴衆集中により一般講演の議論が活性化しにくい点であった.専門医単位制度の影響もあり,若手発表の機会確保やプログラム配置・分野バランスの改善を求める意見がみられた.
今回は,一般講演も同意を得られた発表はすべてオンデマンドで視聴可能であった.
5)学術展示
第79回臨眼では,学術展示303演題が発表された.他の会場で口演が行われている時間帯で学術展示の討論を行う形式であった.セッション60分のうち,演題番号末尾が奇数の演者は前半30分,偶数の演者は後半30分に自身のポスター前で参加者と自由討論を行う形式で,座長が討論進行役であった.参加者アンケートでは,討論時間(30分)について,適切が222件(82.8%),長いが26件(9.7%),短いが20件(7.5%)であった.討論形式については,適切が223件(84.2%),発表時間を設けるべきが42件(15.8%)であった.座長の必要性については,必要が153件(57.3%),どちらともいえないが92件(34.5%),不要が22(8.2%)であった.ポスター会場の広さについては,適切が200件(73.8%),狭かったが69件(25.5%)であった.総じて,今回の発表形式は概ね受け入れられていた.学術展示のプログラム評価についての参加者アンケートでは,適切が251件(95.8%),不適切が11件(4.2%)であった.不適切の理由として,ポスター展示期間が短く閲覧機会が限られる点や,会場配置の分かりにくさ,座長進行や討論体制の不足があげられた.さらにシンポジウムとの時間重複により参加者が集まりにくく,若手発表の議論活性化に向けた運営改善を求める意見がみられた.
3.その他
オンデマンド配信は早期開始・長期視聴・倍速再生など利便性が非常に高く,現地参加が難しい医師や多職種から継続を強く望む意見が多数寄せられた.ICのオンデマンド化や時間短縮も学習効率向上に寄与したと評価された.共催セミナー,懇親会なども参加しやすく満足度が高かった.プログラム構成は演題の多様性と学習機会の豊富さが評価され,看護師・視能訓練士を含む多職種教育としても有用であった.会場運営や受付,動線,時間配分の統一なども概ね好評であった.
4.最後に
本学会は新たな企画への挑戦と従来の学術的蓄積との調和が図られ,臨床・研究・教育の三位一体としての学会の在り方を改めて示した点で意義深いものであった.特にVIPをはじめとした活発な討論を重視した企画やオンデマンド開催延長による参加機会の拡大は,今後の学術集会の方向性を示唆する重要な試みであったと考えられる.参加者からは瓶井資弘学会長および主管校スタッフの工夫の賜物と感謝の声が多く寄せられていた.プログラム内容については全体的にきわめて高く評価されていた.近年でも特に充実度の高い学会であったとの評価が多くみられた.
両学会の評価を通じ,ハイブリッド開催は不可逆的な標準形式として定着したと考えられる.オンデマンド配信は補助的手段ではなく学習設計そのものを構成する要素となっており,視聴環境や配信機能のさらなる改善が求められる.また,人気セッションにおける収容能力,通信インフラ整備,国際化に伴う言語支援など,運営基盤の強化も重要な課題として浮かび上がった.
今後は,①国際化と言語支援の統合的設計,②会場需要予測に基づく配置最適化,③デジタル環境整備,④一般講演活性化を柱とした改善が望まれる.これらは単なる運営改善にとどまらず,学術集会の教育的価値と研究発信力を高める基盤となるものである.本報告が次回以降の運営に活かされ,日本眼科学会総集会が国内外の知を結ぶ中核的学術基盤としてさらに発展することが期待される.
第129回日本眼科学会総会および第79回日本臨床眼科学会の総集会プログラム委員会に対する評価報告にあたり,優れたプログラムを企画された委員各位に深く敬意を表します.また開催に尽力された新潟大学の福地健郎教授,愛知医科大学の瓶井資弘教授ならびに関係者各位に心より感謝申し上げます.
Ⅲ プログラム評価委員会からの提言
日本眼科学会総集会プログラム委員会に対する評価委員会
委員長:吉田 茂生
委 員:生野 恭司,石田 恭子,木澤 純也,國方 彦志,古泉 英貴,澤村 裕正,野口三太朗,福田 憲,益原 奈美,三村 真士,森本 壮,渡辺 彰英 (五十音順,敬称略)
出典:日眼会誌 130巻 5号(令和8年5月10日)











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