12th Retina Today in Kurume (11/7:Web開催)のご報告
- 久留米大学医学部眼科学教室

- 11月11日
- 読了時間: 2分
11月7日に12回目となるRetina Today in Kurumeがweb開催されました。網膜診療の最前線を“No More Surgery”と“Surgery still has a place”の両輪で照らす、大変示唆に富む内容でした。

まず大阪大学大学院・免疫再生医学共同研究講座 特任准教授の福嶋葉子先生に「抗VEGF薬時代の小児網膜診療-No More Surgery!-」をご講演いただきました。

NICU症例の増加を背景に、実際の症例を提示いただき、診断の基本を整理いただきました。診察の実際においては体位・圧迫、周辺部観察のコツを動画とともに具体的にお示しいただき、若手にも直結する実践知でした。画像検査では高額機器からスマートデバイスの有用性と限界を教示していただきました。治療では抗VEGF導入後に手術例が著減した自験データを提示いただき、それでも抗VEGF薬の限界、再発期を含めた長期フォローの重要性、増殖を伴う局面でのレーザー優先や過度なVEGF抑制が血管発達を阻害し得るリスクを強調されました。さらに、成長後の持続性無血管網膜(PAR)の管理という未解決課題にも言及され、臨床と将来研究の方向性をわかりやすく示していただきました。
続いて浜松医科大学医学部眼科学講座主任教授の兼子裕規先生に「抗VEGF薬時代の網膜診療-Surgery still has a place!-」をご講演いただきました。

糖尿病網膜症をはじめ網膜疾患に対する内科的治療が進歩するなかでも、手術の適応と限界を見極める判断軸を既報と症例を交えて解説いただきました。“何でも手術”でも“何でも非手術”でもなく、根拠とタイミングに裏づけられた外科介入の位置付けを、視機能温存の観点から説明いただきました。また兼子先生の研究であるシリコンオイル充填眼における網膜フェロトーシスの病態についても解説いただきました。討論では、抗VEGF後の線維化・牽引悪化の警戒点、術後管理、長期フォローまで踏み込んだ実践的な議論が交わされました。

福嶋先生、兼子先生、ご多忙の中、明日からの診療に直結する知と技をご教授いただき、誠にありがとうございました。いただいた示唆を胸に、私たちも患者さんに寄り添う臨床をさらに磨き、より良い網膜診療を拓いていきたいと思います。
(文責:新井律樹)








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