吉岡久春教授の時代

 増田教授が昭和48年3月に定年退職の後、吉岡久春助教授が昭和48年4月1日より第6代眼科学主任教授に就任した。吉岡教授の専門は眼科臨床の多岐の分野にわたるが、特に、網膜剥離手術と螢光眼底造影法を用いての眼底疾患の病態生理の研究ならびに光凝固治療は、我が国の研究の先駆をなし多くの実績と業績を残した。特に、中心性漿液性脈絡網膜症に関する一連の研究は世界的にも評価され欧米の眼科成書にも引用されている。吉岡教授が網膜剥離の治療、中心性脈絡網膜症やぶどう膜炎の螢光眼底所見、レーザー凝固治療などの分野で教室員を指導し、一方、杉田隆助教授(昭和53年~57年)および杉田新助教授(昭和62年~平成2年)は電子顕微鏡による眼組織病理学に関する研究分野で活躍し教室員の指導を行った。吉岡教授が中心となって教室全体が一体となって取り組んだ中心性漿液性脈絡網膜症のサル実験モデルの作製とその発症機序に関する研究や、光凝固装置の購入とその臨床応用は大変困難な状況のもとで、教室員の努力および教室同門会ならびに広石恂博士や林文彦博士などの寄付により可能となったと、吉岡教授退職記念誌に記されている。
 昭和62年10月2日~4日に、九州で初めての日本臨床眼科学会総会(第41回)が開催され、吉岡教授が会長をつとめ教室員が一体となり準備・運営し成功裡に学会を終えた。この学会で、吉岡会長は、特別講演の演者、シンポジウムの演者、そして座長のほとんどを各大学の助教授あるいは講師に依頼して、学会に若さと情熱を取り入れることを実行し大変な好評を博した。また、吉岡教授は定年退職した翌年の平成3年5月に第95回日本眼科学会総会において特別講演「中心性漿液性脈絡網膜症の病因」を行った。吉岡教授時代に学位を授与された教室員はl1名であった。
 主な研究:角膜真菌症、眼病理に関する研究、ぶどう膜炎、網膜剥離、眼底病変特に初発病変に関する研究、螢光眼底血管造影法による眼底疾患の研究など。